5月24日〜6月10日の日記です。
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 今日は十勝の木の師匠(佐々木 要)が疲れて早寝したので十勝の木の息子の日記になります。工房に通いはじめてはや三ヶ月。覚える事が山ほどあり、やる事なす事初めての事でまさに光陰矢の如し時間の流れがとても早いです。そんな激しい時間を過ごす僕にひとときの安らぎをあたえてくれたのが上の写真の埴輪の猿です。学校の備品(工房は中里小学校の廃校でひらいています。)として工房に残っていたものでどうやら古代人が作った埴輪のレプリカのようです。初めて見た時からこのなんともいえない表情に惚れ込んでいます。いつかは僕もこの古代人が作った猿の埴輪のようになんともいえない魅力を放つうつわが作れたらなあと思います。

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素晴らしい5月晴れ。裏山にでかけました。一月前廊下の窓が雪に埋もれていたとはとても思えません。今は緑に埋もれています。中央唐松林の中にかすみ白っぽく見えているのが工房です。

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雑木林に寄り道。懐かしいスズランの香りを感じました。日当たりの良い場所に一株白い花を発見。こんな季節なんですね。十勝では子供達の運動会の頃スズランが満開となります。写真下からエンジュ、セン、イタヤのボール

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寒い一日でした。午後から雨が降ったり止んだり。夕方から強い雨降りに変わっています。朝から思い切って仕事をしました???。念願のお盆を完成、湿気に気をつけ出来次第プチプチで包装します。特殊サイズのお椀の中繰り、サクラ椀の木取り等大忙しでした。一段落したら写真のうつわにかかります。ミズナラグリーン材のボール。

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名も知らない小川が増水しています。かなりの雨でしたが夜半には小休止。写真は中繰りのお椀と木取りした豆皿です。木の色がいいですね。日焼けした表面も一鉋で樹種独特の表情になります。同じ樹種でも生えている条件で大きく異なります。カツラは日本語、ウオルナットは英語、タモやミズナラは中国語が堪能だったりするかも、そんな事有りません。有りませんよね。

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恵みの雨、降りました。十勝野はフワフワフワ。写真はダケカンバの豆皿です。ザツカバとも呼ばれます。切削で仕上げるのは大変難しく雑椛と命名されてしまいました。私のロクロ加工の仕上げは薄刃と呼ばれるスクレーパーです。台直し鉋の様に豆皿に対し直角に薄刃を合わせ正転逆転を繰り返します。逆目がとまります。激しい気象条件を生きた表情が現れます。

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爽やかな朝です。3日程の雨でフワフワ十勝。写真はアサダのお盆です。マカバ、ダケカンバ、シラカバ、と同じ仲間ですが少々違います。十勝の銘木です。直径50cmを超える木を見かけましたが最近では大型のアサダは見かけなくなりました。お盆はそんな木です。赤銅色が見事です。

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曇りです。肌寒くストーブのお世話になっています。唐松の切り株ですが2段になって見えます。木を安全に倒す為の工夫です。テーブルの上はタランボの芽とセンのお椀、センもタランボと呼びますが木の芽は潅木のタランボです。

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高山植物のコマクサです。5月下旬頃から花をつけています。裏大雪のニペソツ岳、ウペペサンケ山系の標高1700m位で見かけた花です。山で白いコマクサに出会ったことは有りません。40年も前のお話です。

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十勝川中流域の埋もれ木です。私が子供の頃、十勝川は毎年の様に氾濫を繰り返していました。二、三百年前も同じだったのでしょう。河川敷から直径1mを超えるハルニレ、タモ、が出土します。蛇行による侵食や洪水で流され埋もれ木となったと思います。自然の中でお盆のような色に発色する為には数百年が必要です。

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工房裏手の森には「小鳥の森」と書いた看板が有ります。私は修業不足でスズメとカラスとタンチョウツル位しか解りません。山菜目から野鳥目の修業をします。そんな目が有る事を師匠のホームページで知りました。体育館に立て掛けていた万棒(そのうちに説明します)の上に、小鳥が巣を作っています。持ち主はおなかが黄色味を帯び子スズメ位の小鳥です。

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雨交じりの日が続き塗装を見合わせていました。もう我慢できず豆皿の傘に塗装です。取っ手は裁断したセン、先端に画鋲を付けカーペット用両面テープで豆皿を固定します。なかなか強力、十勝版つくも。

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5月初旬の写真、フキとフキノトウ良く晴れた日でした。梅雨の様に雨と曇りの繰り返し、気温が10度前後と低くストーブ活躍中です。フキはコロポックルが住める大きさに成長しフキノトウは種子を飛ばしています。不足な日照にも負けず。強い、強い。
5月9日〜5月22日の日記